まずは計算処理と描画処理を単純に書き加えてみましょう。ソースファイルは次のようになります。テンプレートファイルに書き加えた行を太字で示しました。
CircularMovement01.java
001|import java.applet.*; 002|import java.awt.*; 003| 004|/* 005| * 質点が円運動する様子を描いたアプレットです。 006| * <applet code="CircularMovement01.class" width="200" height="200"></applet> 007| * 008| */ 009| 010|/** 011| * @author Osamu Koizumi 012| * 013| */ 014|public class CircularMovement01 extends Applet implements Runnable{ 015| /** スレッド */ 016| Thread th; 017| /** 経過時間を保持する変数 */ 018| double t = 0; 019| /** 時間の刻み (ミリ秒単位) */ 020| int dt = 100; 021| 022| /** 円運動の半径 (ピクセル単位) */ 023| double a = 90.0; 024| /** 円運動の周期 (秒単位) */ 025| double T = 2.0; 026| /** 質点の x 座標値を保持する変数 */ 027| double x; 028| /** 質点の y 座標値を保持する変数 */ 029| double y; 030| 031| /** 描画される質点の直径(ピクセル単位) */ 032| int d = 6; 033| 034| /* 035| * このメソッドには初期化処理を記述します。 036| * @see java.applet.Applet#init() 037| */ 038| public void init(){ 039| } 040| 041| /* 042| * アプレットの実行が始まると呼ばれます。 043| * @see java.applet.Applet#init() 044| */ 045| public void start(){ 046| // おまじない 047| if( th == null){ 048| th = new Thread( this); 049| } 050| th.start(); 051| } 052| 053| /* 054| * このメソッドには反復処理を記述します。 055| * @see java.lang.Runnable#run() 056| */ 057| public void run(){ 058| while( th != null){ 059| /* 060| * ここに計算などの処理を記述します。 061| */ 062| // 周期を角振動数に変換する 063| double omega = 2 * Math.PI / T; 064| // 質点の位置を計算する 065| x = a * Math.cos( omega * t); 066| y = a * Math.sin( omega * t); 067| // 計算結果を画面に反映させるために再描画する 068| repaint(); 069| 070| // 時間を進める (dt を秒単位に直すために1000で割る) 071| t = t + dt/1000.0; 072| 073| // 刻み時間だけ待つ 074| try{ 075| Thread.sleep( dt); 076| } 077| catch( InterruptedException ex){ 078| } 079| } 080| } 081| 082| /* 083| * このメソッドには描画処理を記述します。 084| * @see java.awt.Component#paint(java.awt.Graphics) 085| */ 086| public void paint( Graphics g){ 087| /* 088| * ここに描画処理を記述します。 089| */ 090| // 描画色を赤色に設定する 091| g.setColor( Color.RED); 092| // 塗りつぶされた円を描く(質点を表す) 093| g.fillOval( (int)x, (int)y, d, d); 094| } 095| 096| /* 097| * アプレット停止時に呼ばれます。 098| * @see java.applet.Applet#stop() 099| */ 100| public void stop(){ 101| th = null; 102| } 103| 104|}
それでは書き加えた部分を抜き出して見ていくことにしましょう。
22. /** 円運動の半径 (ピクセル単位) */ 23. double a = 90.0; 24. /** 円運動の周期 (秒単位) */ 25. double T = 2.0; 26. /** 質点の x 座標値を保持する変数 */ 27. double x; 28. /** 質点の y 座標値を保持する変数 */ 29. double y;
まずは22行目から29行目です。ここでは表7(57ページ)で示した、パラメータを定義しています。時刻 t だけはテンプレートですでに定義済みだったので、位置 x, y と円運動の半径 a、そして円運動の周期 T を定義しました。
31. /** 描画される質点の直径(ピクセル単位) */ 32. int d = 6;
このプログラムでは質点を小さな塗りつぶし円で表示します。32行目ではその塗りつぶし円の直径 d を定義しています。
63行目では、周期 T を角振動数 ω に変換しています。65,66行目で、質点の位置座標の値を求めています。ある量のコサインを計算するには Math.cos() というメソッドを用います。また、ある量のサインを計算するには Math.sin() というメソッドを用います。"Math." を付け忘れることがあるので注意しましょう。
90. // 描画色を赤色に設定する 91. g.setColor( Color.RED); 92. // 塗りつぶされた円を描く(質点を表す) 93. g.fillOval( (int)x, (int)y, d, d);
90行目から93行目で、実際の描画処理を行っています。setColor メソッドは描画色を変更するメソッドです。引数にはあらかじめ用意されている BLACK, BLUE, CYAN, DARK_GRAY, GRAY, GREEN, LIGHT_GRAY, MAGENTA, ORANGE, PINK, RED, WHITE などの色を Color.XXXX (XXXXは色名) として渡すか、RGBで色を指定することができます。RGBで指定する場合には
g.setColor( 255, 255, 0);
のように、引数に R, G, B の順にそれぞれ 0 から 255 までの数を指定します。0がもっとも暗く、255がもっとも明るくなります。例えば(0,0,0)は黒、(255,255,255)は白、(255,0,0)は赤、(0,255,0)は緑、(0,0,255)は青、といった具合です。
93行目の fillOval メソッドは塗りつぶされた楕円を描くメソッドです。fillOval メソッドは4つの引数をとります。
fillOval( int x, int y, int width, int height)
x, y, width, height は図17のように指定します。(x,y)は楕円に外接する四角形の左隅の座標です。
fillOvalメソッドでは、位置 x, y は int 型で渡さなければなりません。しかし我々が27行目、29行目で定義した x, y は double 型です。93行目で (int)x としているのは、double型を「無理やり」 int 型に変換して渡しています。このようにして変数の型を変換することを「キャストする」といったりします。また、第三、第四引数について、今回は質点を円形で表現したいので、width = height (= d) としています。
最終更新時間:2011年01月08日 16時39分08秒